はじめに
近年、BtoBにおいてもEC化が進んでいます。
従来は、電話・FAXでの受注やメールでの見積依頼、営業担当を介した注文などが一般的でしたが、人手不足や業務効率化の観点から、BtoB ECを導入する企業が増えています。
その中で、「ShopifyでBtoB ECは構築できるのか?」というご相談をいただくことがあります。
ShopifyはBtoC向けのイメージが強いかもしれませんが、現在ではBtoB向けの機能も充実しており、運用方法によっては十分に対応可能です。
ただし、BtoC ECと同じ考え方で構築してしまうと、運用開始後にさまざまな課題が発生することもあります。
今回は、ShopifyでBtoB ECを構築する際に押さえておきたいポイントをご紹介します。
1. BtoB ECとBtoC ECは何が違う?
まず理解しておきたいのは、BtoB ECとBtoC ECでは購入フローや運用方法が大きく異なるということです。
BtoBでは、
- 取引先ごとに販売価格が異なる
- 掛け払いに対応したい
- 最低注文数量がある
- 見積もりが必要
- 購入できる商品を取引先ごとに制限したい
といったケースが少なくありません。
一方、BtoCでは基本的にすべてのユーザーが同じ条件で購入できます。
そのため、BtoB ECでは「商品を販売する仕組み」だけでなく、「取引先ごとに最適な購入環境を提供する仕組み」を考える必要があります。
2. 最初に整理しておきたい3つのポイント
① 販売ルールを整理する
BtoB ECでは、まず自社の販売ルールを整理することが重要です。
例えば、
- 取引先ごとの価格設定
- 最低発注数量
- ロット販売
- 送料無料条件
- 支払い方法
などが挙げられます。
これらを明確にしないまま構築を進めると、後から仕様変更が必要になる可能性があります。
まずは「現在どのようなルールで取引しているのか」を整理しておきましょう。
② 会員管理の方法を決める
BtoB ECでは、
- 承認された企業だけがログインできる
- ログイン後に価格を表示する
- 会員ランクによって表示商品を変更する
など、だれでも購入できるストアではなく、会員制サイトとして運用するケースも多くあります。
Shopifyでは標準機能に加え、アプリやBtoB向け機能を活用することで、こうした運用にも対応できます。
どのような会員管理が必要かを事前に整理しておくことが大切です。
③ 運用フローまで考えて設計する
ECサイトは公開して終わりではありません。
- 新規取引先の登録
- 価格変更
- 商品追加
- 廃盤商品の管理
など、日々の運用業務が発生します。
構築時には、機能だけでなく、「公開後に誰がどのように運用するのか」まで考えた設計が重要です。
3. Shopifyだからこそ実現しやすいこと
Shopifyは柔軟性が高く、近年はBtoB向けの構築にも活用しやすくなっています。
特にShopifyの強みは、最初からすべてを作り込むのではなく、必要な機能を段階的に追加しながら運用を拡張できる点です。
BtoB ECでは、企業ごとに取引条件や業務フローが異なるため、最初から完璧なシステムを作ろうとすると要件が複雑化しやすくなります。
その点、Shopifyでは標準機能・アプリ・カスタマイズを組み合わせながら、自社に合った形で構築できることが特徴です。
取引先ごとの販売条件を設計しやすい
BtoB ECでは、取引先によって、販売価格・購入可能商品・支払い条件・最低注文金額・掛け率などが異なるケースがあります。
Shopifyでは、顧客情報やタグ、BtoB向け機能、アプリなどを活用することで、こうした取引先ごとの条件に対応しやすくなります。
例えば、
- 特定の顧客だけに卸価格を表示する
- ログインユーザーのみに商品価格を表示する
- 会員ランクごとに購入可能商品を分ける
といった運用も検討できます。
BtoBでは、単に商品を並べるだけでなく、取引先ごとの購買体験を整えることが重要です。
既存業務をオンライン化しやすい
BtoBでは、従来の受注業務が電話やFAX、メールに依存していることも少なくありません。
そこでShopifyを活用することにより、
- 注文受付
- 顧客情報管理
- 注文履歴確認
- 請求・決済
- 在庫管理
などをオンライン上に集約しやすくなります。
これによって営業担当者や事務担当者の手作業が減り、受注処理の効率化にも繋がります。
また取引先側にとっても、過去の注文履歴を確認しながら再注文できるため、発注の手間を減らせるというメリットがあります。
BtoC展開や多店舗展開にも広げやすい
Shopifyのもう一つの強みは、BtoB ECだけでなく、BtoC販売や海外販売、多店舗展開にも拡張しやすい点です。
- 卸販売用のBtoBサイト
- 一般消費者向けの自社EC
- 海外向け販売
- モール連携
など、事業展開に合わせて販売チャネルを広げやすいことが特徴です。
将来的にBtoBとBtoCの両方を展開したい企業にとって、Shopifyは拡張性の高い選択肢になります。
BtoB ECを単なる受注窓口としてではなく、事業拡大の基盤として活用できる点もShopifyの大きな魅力です。
4. 「できること」より「どう運用するか」が重要
BtoB ECの構築時は、「このプラットフォームでこの機能は実現できるのか?」という点が懸念されがちです。
もちろん機能面は重要ですが、それ以上に大切なのは、「その機能をどのような業務フローの中で活用するか」という視点です。
例えば受注情報や顧客情報をShopifyで管理できていても、基幹システムや販売管理システムと連携できていなければ、毎回手入力しなければなりません。
そうなると、入力ミスや確認漏れのリスクが高まる上、業務効率も大幅に下がってしまいます。
BtoB ECでは機能の有無だけでなく、
- 受注から出荷までの流れ
- 社内の運用体制
- 他システムとの連携
まで含めて設計することが重要です。
まとめ
いかがでしたか?
ShopifyはBtoC向けという印象を持たれることもありますが、現在ではBtoB ECにも幅広く対応できるプラットフォームへと進化しています。
一方でBtoB ECでは、価格設定・会員管理・業務フロー・システム連携など、BtoCとは異なる設計ポイントがあります。
BtoB ECの運用が複雑になってしまうケースの多くは、構築前に業務フローや運用方法まで整理できていなかったことが原因です。
だからこそ、BtoB ECでは「どんなサイトを作るか」だけでなく、
「どんな業務を効率化したいのか」
「将来的にどのような運用を目指すのか」
まで含めて設計する必要があります。
これからShopifyでBtoB ECの構築を検討されている方は、まず自社の取引フローや運用体制を整理した上で、最適な構成を検討してみてはいかがでしょうか。