はじめに
多店舗展開を進めていくと、多くのマーチャントが次の壁にぶつかります。
- 売上は伸びているが、広告費も比例して増えている
- 広告を止めると売上が急落する
- 利益率が徐々に下がっている
- 毎月新規顧客を獲得し続けないと売上が維持できない
この状態は、いわば「広告駆動型の売上構造」です。
広告は必要な投資ですが、依存構造になると
- 利益が不安定になる
- 市場環境(CPA悪化)に左右される
- 成長が鈍化する
といった問題が顕在化します。
そこで本記事では、多店舗展開を行うマーチャントが広告費依存から脱却するための具体的な施策設計を解説していきます。
1. 広告費依存が起きる構造とは?
まずは、広告依存が起きる典型パターンを整理します。
【よくある構造】
- モール広告・SNS広告で新規を獲得
- 初回購入で利益がほぼ出ない
- リピート設計が弱く再購入されない
- 売上維持のため再び広告を回す
このループが続くと、「広告を止められない構造」が出来上がります。
つまり、問題は広告そのものではなく、広告後の設計が弱いことにあります。
2. 広告費依存から脱却するための3つの施策
施策① 新規獲得後の”回収導線”を設計する
広告依存の最大原因は、初回購入で完結してしまう構造です。
【見直すべきポイント】
- 初回購入者のリピート率は把握しているか?
- 2回目購入までの平均日数は?
- 初回購入後の接点は設計されているか?
【具体施策】
-
自社ECでのリピート設計
- 購入後のメールで関連商品を提案
- 消耗品は再購入のタイミングでリマインド
- セット商品などへのアップセル・クロスセル提案
- 定期購入への導線を設計
-
モール購入者への対応
-
モールでは直接的なCRMが難しいため、
- 商品体験の満足度向上
- 同梱物でブランド印象を高める
- 次回購入の理由を明確にする といった”体験設計”が重要になります。
Point広告費を回収する仕組みが出来れば、依存度は自然と下がっていきます。
施策② 広告以外の流入を育てる
広告依存は「真水トラフィック」が弱いことが原因でもあります。
【真水トラフィックとは】
- 指名検索:ブックマークやURL入力などによる直接訪問
- オーガニック検索:検索エンジンでの自然検索による訪問
- ブログなどのコンテンツやSNS(広告を除く)からの流入
- 既存顧客の再訪
これらが育っていないと、広告ストップ=売上ストップとなります。
【具体施策】
-
自社EC強化
- SEOを意識した商品ページ改善
- ブログ・コンテンツ活用
- レビュー活用によるCVR改善
-
モール内SEO対策
- タイトル最適化
- 売れ筋商品に集中した施策
- レビュー施策
Point広告に頼らず露出を増やせる構造を作ることで、売上のベースラインが上がります。
施策③ チャネルごとの役割を再定義する
広告依存が起きるもう一つの理由は、すべてのチャネルで同じKPIを追っていることです。
【役割分離の例】
- 楽天市場・Yahoo!ショッピング:新規接点最大化
- メルカリShops:偶発購入
- 自社EC:LTV最大化 このように整理すると、「モールで新規獲得&自社で利益回収」という構造を作ることができます。
Pointすべてのチャネルで広告を回し利益を取ろうとする構造は、依存を強める要因となります。
3. 広告依存度を測るためのチェック項目
実際に依存度を測るには、次の指標を確認します。
- 広告停止時の売上変動
- リピート率
- 指名検索比率
- チャネル別利益率
特に、広告費が上がっているのに売上成長が鈍化している場合は、構造見直しのタイミングです。
4. 広告を減らすのではなく「強く使う」
重要なのは、広告を止めることではありません。
広告は、
- 新商品の加速
- 売れ筋商品のブースト
- シーズン施策
に集中させることで、”依存”ではなく”加速装置”として使うことが可能です。
あいまいな指標や目標設定のまま常時広告を回し続けるのではなく、戦略的に運用する状態を目指しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
多店舗展開において、広告は重要な成長エンジンです。
しかし、依存構造になると利益と安定性を損なってしまいます。
広告に頼って売上を作るフェーズから、広告を使いこなすフェーズへと移行することが、多店舗展開の次の成長段階と言えます。
広告を使いこなす鍵は、新規獲得後の回収導線・真水トラフィックの育成・チャネル役割の再設計にあります。
一度、自社の売上構造を「広告を止めたらどうなるか」という視点で見直してみてくださいね。